味噌汁

実家に帰ると、猫が小さくなっていた。

心臓が大きくなっていた。

 

月の裏側は冬だと思う。

雪が降っているから。

サンドイッチを食べたり、味噌汁を飲んだりした、女の人生。

ラブホテルの屋上には、割れたコンクリートの隙間から、小さなユリが咲いていて、それを握っていると、宇宙へ飛んでいった。

この街は味噌汁の中だと思った。

この宇宙の中には夜があり、そして、びっくりすることに、朝がある。

 

そして、味噌汁というものは、いつも朝の光に照らされている。